1. 大分類
| 分類 | 主な目的 | 低血糖リスク | 体重への影響 | 代表的な注意点 |
|---|---|---|---|---|
| インスリン製剤 | インスリン補充。1型糖尿病では必須、2型糖尿病でもインスリン分泌低下・高血糖是正に使用。 | あり | 増加しやすい | 食事とのタイミング、単位数、手技、低血糖対応、注射部位ローテーション。 |
| GLP-1受容体作動薬 | 血糖依存的なインスリン分泌促進、食欲抑制、胃排出遅延。 | 単独では低い | 減少〜増加しにくい | 悪心・嘔吐・便秘、食欲低下、SU薬・インスリン併用時の低血糖。 |
| GIP/GLP-1受容体作動薬 | GIPとGLP-1の二重作動。血糖改善と体重減少効果が強い。 | 単独では低い | 減少しやすい | 消化器症状、投与量段階的増量、週1回投与の曜日管理。 |
| インスリン/GLP-1配合剤 | 基礎インスリン補充+GLP-1作用を1本で行う。 | あり | インスリン単独より増加しにくい傾向 | 単位設定、空腹時血糖、消化器症状、他のGLP-1製剤との重複回避。 |
2. インスリン製剤:プレフィルド製剤
| 分類 | 投与タイミングの目安 | 一般名・特徴 | 主な流通製剤・商品名 | 服薬指導ポイント |
|---|---|---|---|---|
| 超速効型 | 食事開始時〜食後、または食直前(製剤により異なる) | インスリン アスパルト、リスプロ、グルリジン等。食後高血糖を抑える。 | フィアスプ注フレックスタッチ、ルムジェブ注ミリオペン、ルムジェブHD注ミリオペン、ノボラピッド注フレックスタッチ/フレックスペン、ヒューマログ注ミリオペン/HD、アピドラ注ソロスター、インスリン アスパルトBS注ソロスター「サノフィ」、インスリン リスプロBS注ソロスター「サノフィ」 | 食事を摂れない時の対応を確認。打ってから食べないと低血糖リスク。 |
| 速効型 | 食事30分前 | レギュラーインスリン。 | ヒューマリンR注ミリオペン、ノボリンR注フレックスペン | 超速効型と違い、原則食前30分。時間ずれに注意。 |
| 混合型 | 食直前または食事30分前(製剤により異なる) | 超速効型/速効型+中間型の混合。食後血糖と基礎分泌を同時に補う。 | ヒューマログミックス25注ミリオペン、ヒューマログミックス50注ミリオペン、ノボラピッドミックス30注フレックスペン、ノボラピッドミックス50注フレックスペン、ヒューマリン3/7注ミリオペン、ノボリン30R注フレックスペン | 懸濁製剤は使用前に十分混和。食事抜きに注意。 |
| 配合溶解 | 食直前 | 超速効型+持効型溶解。 | ライゾデグ配合注フレックスタッチ | 基礎分泌と食事時追加を1本で管理。投与タイミングを固定しすぎない設計だが、医師指示優先。 |
| 中間型 | 医師指示 | NPHインスリン。ピークがあり低血糖に注意。 | ヒューマリンN注ミリオペン、ノボリンN注フレックスペン | 懸濁製剤の混和、夜間低血糖に注意。 |
| 持効型溶解 | 1日1回が基本。アウィクリは週1回。 | 基礎インスリン。グラルギン、デテミル、デグルデク、週1回イコデク等。 | トレシーバ注フレックスタッチ、ランタスXR注ソロスター、ランタス注ソロスター、レベミル注フレックスペン、インスリン グラルギンBS注ミリオペン「リリー」、インスリン グラルギンBS注キット「FFP」、アウィクリ注フレックスタッチ300単位/700単位 | 毎日同じ時間が基本。アウィクリは週1回製剤で、濃度・クリック単位など取り違えに注意。 |
| 配合剤 | 1日1回 | 持効型インスリン+GLP-1受容体作動薬。 | ソリクア配合注ソロスター、ゾルトファイ配合注フレックスタッチ | 他のGLP-1製剤との重複、消化器症状、低血糖を確認。 |
3. インスリン製剤:カートリッジ・バイアル
カートリッジ製剤
| 分類 | 主な製剤 | 注意点 |
|---|---|---|
| 超速効型 | ルムジェブ注カート、フィアスプ注ペンフィル、ヒューマログ注カート、ノボラピッド注ペンフィル、アピドラ注カート、インスリン アスパルトBS注カート「サノフィ」、インスリン リスプロBS注カート「サノフィ」 | カートリッジは専用注入器との適合確認が必須。無理にはめない。JIS A型専用注射針を使用。 |
| 速効型 | ヒューマリンR注カート | |
| 混合型 | ヒューマログミックス25注カート、ヒューマログミックス50注カート、ノボラピッドミックス30注ペンフィル、ヒューマリン3/7注カート | |
| 中間型 | ヒューマリンN注カート | |
| 持効型溶解 | トレシーバ注ペンフィル、インスリン グラルギンBS注カート「リリー」、ランタス注カート、レベミル注ペンフィル |
バイアル製剤
| 分類 | 主な製剤 | 注意点 |
|---|---|---|
| 超速効型 | フィアスプ注100単位/mL、ルムジェブ注100単位/mL、ノボラピッド注100単位/mL、ヒューマログ注100単位/mL、アピドラ注100単位/mL、インスリン アスパルトBS注100単位/mL NR「サノフィ」、インスリン リスプロBS注100単位/mL HU「サノフィ」 | インスリンバイアル専用シリンジが必要。単位換算ミス、取り違え、汚染に注意。 |
| 速効型 | ノボリンR注100単位/mL、ヒューマリンR注100単位/mL | |
| 混合型 | ヒューマリン3/7注100単位/mL | |
| 中間型 | ヒューマリンN注100単位/mL | |
| 持効型溶解 | ランタス注100単位/mL |
4. GLP-1受容体作動薬・GIP/GLP-1受容体作動薬
| 分類 | 一般名 | 商品名・規格 | 投与頻度 | 特徴・指導ポイント |
|---|---|---|---|---|
| GLP-1受容体作動薬 | リラグルチド | ビクトーザ皮下注18mg | 1日1回 | 段階的に増量。悪心など消化器症状に注意。2026年後半をもって製造並びに販売終了予定との記載あり。 |
| GLP-1受容体作動薬 | セマグルチド | オゼンピック皮下注2mg | 週1回 | 週1回同一曜日。食欲低下、悪心・便秘を確認。 |
| GLP-1受容体作動薬 | デュラグルチド | トルリシティ皮下注0.75mgアテオス、トルリシティ皮下注1.5mgアテオス | 週1回 | 針内蔵のデバイス。操作手順を初回確認。 |
| GIP/GLP-1受容体作動薬 | チルゼパチド | マンジャロ皮下注2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、12.5mg、15mgアテオス | 週1回 | 2.5mgから開始し、忍容性を見ながら増量。消化器症状、食事摂取量低下、脱水に注意。 |
5. インスリン+GLP-1配合剤
| 商品名 | 成分 | 投与 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| ゾルトファイ配合注フレックスタッチ | インスリン デグルデク+リラグルチド | 1日1回 | 基礎インスリンとGLP-1作用を同時に補う。 | 単位設定の理解、悪心、低血糖、他GLP-1との重複を確認。 |
| ソリクア配合注ソロスター | インスリン グラルギン+リキシセナチド | 1日1回 | 空腹時血糖と食後血糖の両面を狙う。 | 朝食前など処方指示の投与タイミング確認。胃腸症状に注意。 |
6. 患者指導で必ず確認する項目
低血糖
冷汗、動悸、手指振戦、強い空腹感、意識障害。ブドウ糖携帯、車の運転前確認、食事抜き・飲酒時の対応を確認。
注射手技
空打ち、単位設定、針の着脱、注入後の保持時間、針の再使用禁止、廃棄方法を確認。
注射部位
腹部・大腿・上腕など。硬結やリポハイパートロフィー予防のため、同一部位内で少しずつずらす。
保管
未使用品は原則冷蔵。凍結不可。使用開始後は製剤ごとの室温保存期間を確認。車内放置は避ける。
取り違え
超速効型と持効型、週1回製剤、配合剤、高濃度製剤は特に注意。色・名前・投与タイミングをセットで確認。
GLP-1/GIP製剤
悪心・嘔吐・便秘、食欲低下、脱水、急な食事量低下を確認。インスリンやSU薬併用時は低血糖にも注意。
7. 使い分けの実務整理
| 場面 | 考え方 | 薬剤師の確認ポイント |
|---|---|---|
| 食後血糖が高い | 超速効型、速効型、混合型、GLP-1/GIP製剤が候補。 | 食事時間、食事量、打ち忘れ、低血糖の有無。 |
| 空腹時血糖が高い | 持効型溶解インスリン、配合剤が候補。 | 就寝前血糖、夜間低血糖、投与時刻、単位調整指示。 |
| 注射回数を減らしたい | 週1回GLP-1/GIP、週1回インスリン、配合剤を検討することがある。 | 曜日管理、打ち忘れ時対応、デバイス操作。 |
| 体重増加を避けたい | GLP-1受容体作動薬、GIP/GLP-1受容体作動薬が選択肢。 | 食欲低下が強すぎないか、脱水、便秘。 |
| 1型糖尿病 | インスリンが基本。GLP-1/GIP製剤は適応・処方意図を必ず確認。 | 基礎・追加インスリンの役割、シックデイ、ケトン体リスク。 |