糖尿病の注射剤まとめ

日本で流通している主な注射製剤ベース(2026年2月改訂資料を参照)
位置づけ:薬剤師・医療スタッフ向けの整理資料です。最終確認は最新の添付文書、施設採用品、卸流通状況で行ってください。販売終了製品は原則除外しています。

1. 大分類

分類主な目的低血糖リスク体重への影響代表的な注意点
インスリン製剤インスリン補充。1型糖尿病では必須、2型糖尿病でもインスリン分泌低下・高血糖是正に使用。あり増加しやすい食事とのタイミング、単位数、手技、低血糖対応、注射部位ローテーション。
GLP-1受容体作動薬血糖依存的なインスリン分泌促進、食欲抑制、胃排出遅延。単独では低い減少〜増加しにくい悪心・嘔吐・便秘、食欲低下、SU薬・インスリン併用時の低血糖。
GIP/GLP-1受容体作動薬GIPとGLP-1の二重作動。血糖改善と体重減少効果が強い。単独では低い減少しやすい消化器症状、投与量段階的増量、週1回投与の曜日管理。
インスリン/GLP-1配合剤基礎インスリン補充+GLP-1作用を1本で行う。ありインスリン単独より増加しにくい傾向単位設定、空腹時血糖、消化器症状、他のGLP-1製剤との重複回避。

2. インスリン製剤:プレフィルド製剤

分類投与タイミングの目安一般名・特徴主な流通製剤・商品名服薬指導ポイント
超速効型食事開始時〜食後、または食直前(製剤により異なる)インスリン アスパルト、リスプロ、グルリジン等。食後高血糖を抑える。フィアスプ注フレックスタッチ、ルムジェブ注ミリオペン、ルムジェブHD注ミリオペン、ノボラピッド注フレックスタッチ/フレックスペン、ヒューマログ注ミリオペン/HD、アピドラ注ソロスター、インスリン アスパルトBS注ソロスター「サノフィ」、インスリン リスプロBS注ソロスター「サノフィ」食事を摂れない時の対応を確認。打ってから食べないと低血糖リスク。
速効型食事30分前レギュラーインスリン。ヒューマリンR注ミリオペン、ノボリンR注フレックスペン超速効型と違い、原則食前30分。時間ずれに注意。
混合型食直前または食事30分前(製剤により異なる)超速効型/速効型+中間型の混合。食後血糖と基礎分泌を同時に補う。ヒューマログミックス25注ミリオペン、ヒューマログミックス50注ミリオペン、ノボラピッドミックス30注フレックスペン、ノボラピッドミックス50注フレックスペン、ヒューマリン3/7注ミリオペン、ノボリン30R注フレックスペン懸濁製剤は使用前に十分混和。食事抜きに注意。
配合溶解食直前超速効型+持効型溶解。ライゾデグ配合注フレックスタッチ基礎分泌と食事時追加を1本で管理。投与タイミングを固定しすぎない設計だが、医師指示優先。
中間型医師指示NPHインスリン。ピークがあり低血糖に注意。ヒューマリンN注ミリオペン、ノボリンN注フレックスペン懸濁製剤の混和、夜間低血糖に注意。
持効型溶解1日1回が基本。アウィクリは週1回。基礎インスリン。グラルギン、デテミル、デグルデク、週1回イコデク等。トレシーバ注フレックスタッチ、ランタスXR注ソロスター、ランタス注ソロスター、レベミル注フレックスペン、インスリン グラルギンBS注ミリオペン「リリー」、インスリン グラルギンBS注キット「FFP」、アウィクリ注フレックスタッチ300単位/700単位毎日同じ時間が基本。アウィクリは週1回製剤で、濃度・クリック単位など取り違えに注意。
配合剤1日1回持効型インスリン+GLP-1受容体作動薬。ソリクア配合注ソロスター、ゾルトファイ配合注フレックスタッチ他のGLP-1製剤との重複、消化器症状、低血糖を確認。

3. インスリン製剤:カートリッジ・バイアル

カートリッジ製剤

分類主な製剤注意点
超速効型ルムジェブ注カート、フィアスプ注ペンフィル、ヒューマログ注カート、ノボラピッド注ペンフィル、アピドラ注カート、インスリン アスパルトBS注カート「サノフィ」、インスリン リスプロBS注カート「サノフィ」カートリッジは専用注入器との適合確認が必須。無理にはめない。JIS A型専用注射針を使用。
速効型ヒューマリンR注カート
混合型ヒューマログミックス25注カート、ヒューマログミックス50注カート、ノボラピッドミックス30注ペンフィル、ヒューマリン3/7注カート
中間型ヒューマリンN注カート
持効型溶解トレシーバ注ペンフィル、インスリン グラルギンBS注カート「リリー」、ランタス注カート、レベミル注ペンフィル

バイアル製剤

分類主な製剤注意点
超速効型フィアスプ注100単位/mL、ルムジェブ注100単位/mL、ノボラピッド注100単位/mL、ヒューマログ注100単位/mL、アピドラ注100単位/mL、インスリン アスパルトBS注100単位/mL NR「サノフィ」、インスリン リスプロBS注100単位/mL HU「サノフィ」インスリンバイアル専用シリンジが必要。単位換算ミス、取り違え、汚染に注意。
速効型ノボリンR注100単位/mL、ヒューマリンR注100単位/mL
混合型ヒューマリン3/7注100単位/mL
中間型ヒューマリンN注100単位/mL
持効型溶解ランタス注100単位/mL

4. GLP-1受容体作動薬・GIP/GLP-1受容体作動薬

分類一般名商品名・規格投与頻度特徴・指導ポイント
GLP-1受容体作動薬リラグルチドビクトーザ皮下注18mg1日1回段階的に増量。悪心など消化器症状に注意。2026年後半をもって製造並びに販売終了予定との記載あり。
GLP-1受容体作動薬セマグルチドオゼンピック皮下注2mg週1回週1回同一曜日。食欲低下、悪心・便秘を確認。
GLP-1受容体作動薬デュラグルチドトルリシティ皮下注0.75mgアテオス、トルリシティ皮下注1.5mgアテオス週1回針内蔵のデバイス。操作手順を初回確認。
GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチドマンジャロ皮下注2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、12.5mg、15mgアテオス週1回2.5mgから開始し、忍容性を見ながら増量。消化器症状、食事摂取量低下、脱水に注意。

5. インスリン+GLP-1配合剤

商品名成分投与特徴注意点
ゾルトファイ配合注フレックスタッチインスリン デグルデク+リラグルチド1日1回基礎インスリンとGLP-1作用を同時に補う。単位設定の理解、悪心、低血糖、他GLP-1との重複を確認。
ソリクア配合注ソロスターインスリン グラルギン+リキシセナチド1日1回空腹時血糖と食後血糖の両面を狙う。朝食前など処方指示の投与タイミング確認。胃腸症状に注意。

6. 患者指導で必ず確認する項目

低血糖

冷汗、動悸、手指振戦、強い空腹感、意識障害。ブドウ糖携帯、車の運転前確認、食事抜き・飲酒時の対応を確認。

注射手技

空打ち、単位設定、針の着脱、注入後の保持時間、針の再使用禁止、廃棄方法を確認。

注射部位

腹部・大腿・上腕など。硬結やリポハイパートロフィー予防のため、同一部位内で少しずつずらす。

保管

未使用品は原則冷蔵。凍結不可。使用開始後は製剤ごとの室温保存期間を確認。車内放置は避ける。

取り違え

超速効型と持効型、週1回製剤、配合剤、高濃度製剤は特に注意。色・名前・投与タイミングをセットで確認。

GLP-1/GIP製剤

悪心・嘔吐・便秘、食欲低下、脱水、急な食事量低下を確認。インスリンやSU薬併用時は低血糖にも注意。

7. 使い分けの実務整理

場面考え方薬剤師の確認ポイント
食後血糖が高い超速効型、速効型、混合型、GLP-1/GIP製剤が候補。食事時間、食事量、打ち忘れ、低血糖の有無。
空腹時血糖が高い持効型溶解インスリン、配合剤が候補。就寝前血糖、夜間低血糖、投与時刻、単位調整指示。
注射回数を減らしたい週1回GLP-1/GIP、週1回インスリン、配合剤を検討することがある。曜日管理、打ち忘れ時対応、デバイス操作。
体重増加を避けたいGLP-1受容体作動薬、GIP/GLP-1受容体作動薬が選択肢。食欲低下が強すぎないか、脱水、便秘。
1型糖尿病インスリンが基本。GLP-1/GIP製剤は適応・処方意図を必ず確認。基礎・追加インスリンの役割、シックデイ、ケトン体リスク。